イオン注入とは
1947年、ベル研究所において「トランジスタ」が発明されて以来、半導体の進歩は凄まじく、産業の発展に寄与してきました。今後も電子機器の制御、自動車の電装化、ICT(情報通信技術)による産業機器自動化、更にはDXやIoTの進展など、半導体が産業の中核を担っていきます。その複雑多岐にわたる半導体製品を製造するプロセスにおいて重要な役割を果たしているのが「イオン注入」です。特に近年は自動車向け半導体製品で注目されるパワーデバイスの製造において、「イオン注入」プロセスの重要度が増しています。
イオン注入工程は、元々「不導体」である基板に不純物となるドナーやアクセプタを注入することで電気特性を変化させ、「使える半導体」にする工程で、半導体/FPD製造工程において欠くことの出来ない非常に重要な役割を担っています。イメージとしては図1において、スポンジが「不導体」である基板、ボールがドナーやアクセプタ等の不純物に該当します。
半導体製造工程には、大きく分けて、「前工程」、「後工程」の2つがあり、FPD製造工程には「アレイ工程」、「カラーフィルタ・セル・モジュール工程」の2つがあります。
イオン注入は、フォトレジスト塗布、露光・現像、エッチング、レジスト剥離・洗浄、平坦化等の工程と合わせて「前工程」/「アレイ工程」と呼ばれる工程の中に位置しており、これらの工程を回路パターンを変えながら何度も繰り返すことにより、図2の断面図のような形状の電子デバイスが形成されていきます。
図1
図2.半導体プロセスでのイオン注入工程の一例
(NMOSソースドレイン形成工程)
今後期待される分野
医療・宇宙・エネルギー・新素材等、様々な分野でイオンビームの技術応用が期待されています。
より多くのEVや高速鉄道への
パワーデバイスの波及
AR/VRディスプレイや
透明ディスプレイの普及
剥離接合(水素・ヘリウム注入)による異種材料融合集積技術
表面改質(低エネルギー大電流注入)による超微細加工技術
人工知能による
自動装置運転および監視技術
多様な先端技術を結集
これらの技術を実現する装置技術は、実に多岐にわたる技術分野が関連しています。
例えば、真空技術・電子回路技術・プラズマ化学・材料工学・高電圧絶縁技術・メカトロニクス・情報通信・IT等々の知見を有する技術者集団が、
新しい応用分野での事業化を目指して、装置・プロセス技術の開発に取り組んでいます。
これらの技術を実現する装置技術は、実に多岐にわたる技術分野が関連しています。
例えば、真空技術・電子回路技術・プラズマ化学・材料工学・高電圧絶縁技術・メカトロニクス・情報通信・IT等々の知見を有する技術者集団が、新しい応用分野での事業化を目指して、装置・プロセス技術の開発に取り組んでいます。