イオン注入ディクショナリーIon Implantation dictionary

プロセスに関連する用語

ウェル注入

英語表記
Well doping

CMOSトランジスタの基板導電層として用いられる比較的深い不純物層の事をウェルという。NMOSトランジスタはp型の導電層のpウエル、PMOSトランジスタはn型の導電層のnウェル内に形成される。従来は低エネルギーイオン注入と高温長時間の熱処理でドーパントを深くまで拡散することで形成していたが、高エネルギー注入機の登場により多段注入でウェルを形成する手法が主流となっている。従来法とは逆に深さ方向に濃度が濃くなることからレトログレードウェルと呼ばれる。また異なる基板電位でトランジスタを用いたい場合、ウェルの側壁、底部に異なる導電型の不純物層を形成することでウェルをと基板を分離することができる。この構造は、従来のpウェル、nウェルに加えて基板分離ウェルを有することからトリプルウェル構造と言う。DRAMやNANDなどのメモリー素子やパワーLSIで用いられる。またウェルには電位を固定するためにウェルタップと言われるウェルと同導電型の高濃度領域が形成される。一般に高濃度領域の形成はソースドレイン注入で兼ねられる。