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国際会議(AM-FPD)でPoster Paper Awardを受賞 ~酸化物半導体へのイオン注入技術の研究で連続受賞

弊社(本社:京都市南区、社長:長井宣夫)と日新電機株式会社(本社:京都市右京区、社長:松下芳弘)の共同研究開発グループは、この度、最先端のフラットパネルディスプレイ(FPD)に関する技術と材料等が報告される国際会議「AM-FPD’22」(会期:2022年7月5日(火)~7月8日(金))において、昨年の同国際会議で発表した「アルゴンイオン注入されたアモルファスIGZOの特性」に関する研究成果について、「AM-FPD’21 Poster Paper Award」を受賞しました。昨年に引き続き2年連続の受賞となります。

本研究では、今まで困難とされていたイオン注入した希ガスイオンの深さ方向プロファイルの解析方法を確立しました。一般的に希ガスイオンとして使用されているアルゴンイオンに注目し、現在のプラズマ照射手法と、イオン注入手法の熱安定性を比較しました。結果、イオン注入手法は、IGZO膜の深くまで低抵抗化されており、その状態を高温環境でも維持できることを証明できた点が評価され、今回の受賞につながったと考えています。

本成果は、タブレットやノートパソコン、モニターに代表される酸化物半導体を用いた、中・大型フラットパネルディスプレイの高精細化に大きく貢献できる技術として期待されています。今後も、TFTプロセスの量産技術への採用を目指し、よりいっそうの研究開発を行っていきます。

受賞内容:AM-FPD ’21 Poster Paper Award

受賞テーマ:Characteristics of argon-ion-implanted amorphous-InGaZnO

          授賞式
          賞状

【AM-FPD’22】

開催日 :2022年7月5日(火)~7月8日(金)

開催場所:龍谷大学 響都ホール校友会館、オンライン(ハイブリッド形式開催)

主  催:一般社団法人 機能性薄膜材料デバイス国際会議(FTFMD)

概  要:FTFMDの主催のもとで開催される国際会議。1994年に開催されて以来、毎年開催されており、

     アクティブマトリクスFPDにおけるTFT技  術とディスプレイ材料等に関する国際学会として、

     システム、デバイス、プロセス、FPD、薄膜デバイス、太陽光発電の材料の研究開発に従事する人々に重要な機会を提供している。

<参考>

 【用語解説】

・IGZO

  インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、酸素(O)から構成される酸化物半導体の略称。

・アルゴン

  原子番号18番の元素。希ガスの一種で、化学反応をほとんど起こさない。

・深さ方向プロファイル

  薄膜を処理した後に、どの程度の深さまで性質を変化させているかの分布。イオン注入の場合、計算によって予測する事が可能。

・低抵抗化手法

  TFTを製作するために、ある領域を102~10Ω/☐にする必要があり、イオン注入の他に、プラズマ照射やレーザー照射等、さまざまな手法が用 

  いられる。

・TFT(Thin Film Transistor):薄膜トランジスタ

  半導体薄膜を使って作製したトランジスタで、ガラスやフィルムなどの絶縁膜基板上に製作し、液晶や有機ELの表示に使用される。

・希ガス

  ヘリウム (He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、ラドン(Rn)の6元素を総称するもの。