ステアリングコイル

イオンドーピング装置では、イオン源と注入ターゲット間の距離が長いため、イオン源からイオンビームを引出すときに鉛直方向に偏向されていると、その角度が小さくても注入ターゲット上ではイオンビームが数センチメートル以上上下にシフトしてしまい、注入プロファイルの上下端の形状が肩落ちする等、ビーム均一性悪化の要因になってしまう。そのために、イオンドーピング装置においては、イオン源直下に水平方向の均一な磁場を与えることにより、イオンビームの偏向を抑制する機能を設けている。その磁場を生成するためのコイルがステアリングコイルであり、イオン源から引出されたイオンビーム全体をカバーする矩形コイルがビームを挟む形で左右に設置されている。
なお、イオン源引出しにおいて、ビームが偏向する原因としては、イオン源が傾いて設置されている、引出し電極系のアライメントがずれている等が考えられる。