チャネリング

イオンと原子の衝突確率は、イオンとターゲット原子間の距離が離れると小さくなる。単結晶構造では、結晶軸や結晶面に沿った方向では注入方向から見ると原子間隔が広いチャネルが存在し、それぞれ軸チャネル、面チャネルという。面チャネル方向や軸チャネル方向に沿って注入した場合、大部分のイオンは、原子と衝突せずに、電子との小角散乱を繰り返して結晶内部まで侵入することになり、この現象をチャネリングという。浅い接合形成においては、チャネリングを避けるためにチルト角、ツイスト角をチャネル方位から外れるように設定して注入を実施する。また、深い位置まで入るという特徴を活かして積極的にチャネリングを用いることもある。チャネリングが起こる臨界角は、注入イオンのエネルギーが高い程、また原子番号が小さい程小さくなる。